英語よりももっと大切なこととは?

 

こんにちは、佐野雅代です。

 

前回の記事でお話しした、こちらの話はいかがでしたでしょうか?

おうち英語は「歌」がいいの?「絵本」がいいの?


私たち親世代が子供だった頃は、

「英語ができたらカッコイイ」

という感じで、

 

どこかファッション感覚のようなところがありましたよね。

 

それが、だんだんと、英語が公用語の会社が増えてきたり、海外からの優秀な人材が増えてきたりして、

「これからの時代、英語ができなきゃヤバい」

という感覚に変わってきました。

 

でも実は、「英語」をどこかゴールのように捉える考え方も、少し時代遅れになりつつあります。

 

AI(人工知能)による翻訳技術の進歩は目覚ましく、

 

今や、ただ用件や情報を伝えるだけの英語は、もうAIがしゃべってくれる時代です。

 



今後は、英語というツールを使って、あなたという人間は何を考え、何を表現するのか、

 

そして、どんな人と一緒に、何を成し遂げるのか、といった

 

英語「+アルファ」の部分が、ますます重視されるようになっていきます。

 

そんな、加速するAI社会への危機感や、少子化ということもあって、

 

今、早期教育・幼児教育がブームのようになっていますよね。


もう子供がお腹の中にいるうちから始めるのはあたりまえだし、0歳から英語教室や幼児教室に通わせる人も増えています。

 

それに伴って、幼児のうちから英検を受ける子も増えていたり、幼稚園受験や小学校受験をする子もかなり増えています。

 

「幼児教育が大切」というのは、もちろん私も大賛成なのですが…

 

その意味を少し誤解されている親御さんが多いようなのです。

 

心の力が弱い子が増えている!?
 
 
 
 

周りのお友達や、SNSなどを見ていると、最近は、本当に多くのお子さんたちが、幼児のうちから学習塾やたくさんの習い事に通っていますよね。

 

先日も、1週間毎日、時には1日2つの習い事をかけ持ちさせていらっしゃる親御さんが、

 

「幼児のうちは時間が有り余っていたけど、小学校に上がったら習い事の断捨離をしなきゃ~」と書かれている投稿を見て、とてもびっくりしました。

 

親御さんが送り迎えのために注ぐ時間とエネルギーや、経済力の大きさには、本当に頭が下がる思いではありますが…

 

さすがに、幼児教育の意義を誤解されていらっしゃらないだろうか…?とちょっと心配になってしまいました。

 

実際に、幼児教室や英語教室などの先生方のお話を聞いていても、親御さんの中には、

 

幼児教育を単なる学習の先取りのように考える方や、

 

IQ(知能指数)、つまり読み、書き、計算といった数値で測ることのできる能力やスキルを身に付けることばかりに目を向けている方、

 

英検などの資格を取らせようとものすごく頑張っている(子供に頑張らせている)方が本当に多いそうなのです。

 

 

結果として、なかなか思うような成果が得られず、親御さん自身がストレスを抱えてしまったり、

 

英語が身に付かないどころか、逆に英語が大嫌いになってしまう子、

 

お勉強はものすごくできるのに、自発性が足りず、与えられたことしかできない

 

ちょっと失敗するとすぐに心が折れてしまう

 

自分の気持ちをうまくコントロールできず、他人とのコミニケーションがうまく取れない子などが増えているそうです。

 

 

例えば、知り合いの英語教室の先生からは、

 

ある3歳の女の子が、英語ペラペラでものすごく優秀な子なのに、自分よりもできない子を「あなた、おバカちゃんね」と本気でバカにしたりするので、

 

お友達の輪に入れずどうしたものか困っている、という悩みを聞いたことがあります。

 

私自身も、以前、娘の幼稚園に忘れ物を届けに行った時、初めて会った女の子にいきなり指をさされて、

 

「なんでママがいるんだよ!ママはお仕事行け!」と大きな声で怒鳴られて、すごくびっくりしたという経験もありました。

 

これらは、必ずしも誤った幼児教育のせいであると言い切ることはできませんが、

 

子供のの力」を育てることの大切さを、改めて実感する機会になりました。



 
幼児教育が大切だと言われる本当の理由
 
 
 

 

「幼児教育が大切」と言われる1つの根拠としてよく挙げられるのが、

 

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ジェームズ・ヘックマン教授の研究です。

 

この研究によると、就学前、特に乳幼児期における教育に投資をすることが最も効果が大きいと結論づけられています。

 

この研究の根拠となる「ペリー就学前プロジェクト」という調査によると、

 

確かに、3歳から幼児教育を受けた子供たちのグループは、そうでない子供たちよりもIQが著しく伸びました

 

でも、そのIQの伸びは長続きせず、8歳頃の時点では、幼児教育を受けた子も受けなかった子も、ほとんど差がなくなっていたのです。

 

このように、IQに関しては幼児教育の意味がほとんどないということが実証されてしまいましたが、

 

その子供たちが40歳になったときの状況を調べたところ、

 

幼児教育を受けた子供たちの方が、高校卒業率、収入、持ち家率などが高く、離婚率、犯罪率、生活保護受給率が低いというように、

 

大人になってから、より良い人生を歩む可能性が高いということがわかったのです。

 

 

これはどういうことかといいますと、

 

幼児教育においては、ただIQをアップさせるためだけに、いわゆる読み、書き、計算のようなスキルを教えるのではなく、

 

家庭の中はもちろん、保育園・幼稚園といった家庭の外も含めた、大人との適切な関わりによって、

 

EQ(心の力、非認知能力)をしっかり身に付けることが、何よりも重要ということなのです。

 

じゃあ、そのEQって一体何なの?

 

という話は、また次の記事でお話ししていきたいと思います。

 

それでは、また。